AndroidによるJava APIの使用は著作権侵害に該当するという判決
詳しくないので間違いがあったらすみません。
米控訴裁判所が、Java APIの使用に関するOracleとGoogleの争いに新しい決定を下したようです。Oracleによる「GoogleのAndroidによるJava APIの使用はフェアユースには当たらず、同社の著作権を侵害している」という主張を認め、地方裁判所に損害賠償の裁判を差し戻すという判決が出されました。
Oracle wins appeal against Google in copyright case – TechCrunch
今回の判決
判決文は以下にあります。
http://www.cafc.uscourts.gov/sites/default/files/opinions-orders/17-1118.Opinion.3-26-2018.1.PDF
最後のConclusionに次のように書かれています。
For the foregoing reasons, we conclude that Google’s use of the 37 Java API packages was not fair as a matter
of law. We therefore reverse the district court’s decisions denying Oracle’s motions for JMOL and remand for a trial on damages. The district court may determine the appropriate vehicle for consideration of infringement allegations regarding additional uses of Android. We dismiss Google’s cross-appeal.私たちは、Googleの37のJava APIパッケージの使用は、法律上のフェアユースではないと結論づける。したがって、JMOLに関するオラクルの申し立てを棄却した地方裁判所の決定を取り消し、損害賠償の裁判を差し戻す。(後略)
言葉通り、フェアユースではないということは著作権侵害にあたるということなので、最初の損害賠償請求の裁判に戻すよ、ということです。
これまでの経緯
OracleとGoogleの争いに関するこれまでの経緯は、2016年7月のJJUGナイトセミナーの様子をレポートした次の記事に詳しくまとめられています。
Google対OracleのJava API訴訟。歴史的経緯とIT業界への影響を考える(その1)。JJUGナイトセミナー - Publickey
重要な部分のみ抜粋すると、
- GoogleによるJava使用は特許侵害ではないという判決がでる(2012年5月)
- APIは著作権法で保護されるという判決がでる(2015年6月)
- GoogleのAndroidにおけるJava API使用はフェアユースにあたるという評決がでる(2016年6月)
最初の2つは、すでに判決が出てしまっているので確定事項です。また、2のAPIが著作権法で保護されるというのはJava APIに限定されたものではないので、非常に広範囲に影響するということで大きな話題になりました。
APIに著作権があるとしても、Androidにおける使用はフェアユースだから著作権法の保護の対象にはならないよ、としたのが3つ目の評決です。判決文のJMOL(Judgment as a Matter Of Law)というのがこの判断のことを指しています。
その後、Oracleは地方裁判所に対して新たな審理を求めましたが、2016年9月に棄却されています。これが「JMOLに関するオラクルの申し立てを棄却した地方裁判所の決定」というやつです。そのあたりの経緯やOracleの主張については、下記の記事で解説されています。
オラクル、グーグルによるJava APIの使用めぐり上訴 - ZDNet Japan
今回の控訴裁判所の判決では、"フェアユースに当たる"とした判断そのものが覆されたわけです。なぜ覆されたのかは判決文に書いてあるようですが、難しそうなので読んでいません。誰か読んで教えてください。
追記:
判決文をもう少しちゃんと眺めてみたので、こちらも参考にしてください。
AndroidにおけるJava API使用の何がフェアユースではなかったのか - 我らねぶた馬鹿