James Gosling氏曰く「今アツいのは生物学」

NetBeansに関する有益な情報を日々掲載しているGeertjan氏のブログにおいて、ちょっと興味深いエントリーがありました。
James Gosling & The Massive Popularity Of The Java Desktop

前半はSilicon Valley JUGでのGosling氏の講演から、その一部を引用したもの。内容はざっと以下のような感じです。大意を取っただけなので原文を読んでください。

人々の興味がWebにばかり集中しているのにうんざりしている。コンピューティングの分野においてはWebのことなんて10%程度の問題ではないか。いま何に注目すればいいかと言うなら、それは生物学における非常に巨大な計算問題だ。近代医療研究とはまさしくコンピューティングと言える。多くの人がそれは化学者がすることでコンピューティングだと考えてはいないかもしれない。しかし物理学者と話してみれば分かる。彼らは物理の実験ではなく、コードを書くことに大部分の時間を費やしている。それは数千の異なる物(物質?物体?現象?)に満たされた極めてクールな世界で、Webのことなんてその一角に過ぎないと感じる。

もともとGosling氏はWebやエンタープライズよりも学術研究やハードウェア分野でのJavaの利用を喜ぶ人なので多少極端な表現と言えるかもしれませんが、Web関連技術ばかりが注目される風潮に警鐘を鳴らしているという点では興味深いものだと思います。

後半は、java.netにおける投票結果で多くの人が今年注目している分野としてデスクトップJavaを挙げていることを元に、「デスクトップは死んだ」という論調に疑問を投げかけている内容です。Geertjan氏は、アンケートに対するコメントから、デスクトップが以前として注目されている理由として「セキュリティ」と「信頼性」を挙げています。重要なデータや計算を預けるには、まだWebのセキュリティと信頼性は不十分で、そのようなニーズでは依然としてデスクトップJavaが重視されている、とのことです。
この点は科学技術分野への注目というGosling氏の主張とも関連してくるとGeertjan氏は述べています。また、NetBeansに科学的なシミュレーションのためのツールが多く存在する理由も説明できるとしています。

企業の営業活動に直結するのがWeb技術であることは間違いないので、個人的にはそこに注目が集まるのは当然かと思います。ただ、だからといってデスクトップ技術が疎かにできるわけではないのは言うまでもないことです。というより、疎かにしてごまかせる時代はすでに過ぎ去ったと言うべきかと。そうでなければRIAやマルチスクリーンが重視されている理由が説明できませんから。
とはいえ、前述のアンケート、Javaだからこの結果なんだろうなあと思わないでもないですが;-P