ねぶた囃子がほぼそのまま使われた矢野顕子の『ふなまち唄PartI』

今更感満載ですが、この記事は「青森ねぶた祭り Advent Calendar 2015」の12月13日分として書きました。これでようやく全部埋めたぞ。

日頃から青森ねぶたが登場する映画や、ねぶた囃子が使われている楽曲はできるだけチェックするようにしているのですが、その中でもっとも衝撃を受けたのが矢野顕子さんの『ふなまち唄PartI』でした。デビューアルバム『JAPANESE GIRL』に収録されている曲で、ねぶた囃子がほぼそのまま使われています。

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発売が1976年なので、今からおよそ40年前の音源ということになります。使われている楽器は太鼓と笛で、手振り鉦はありません。「ラッセーラー」の掛け声と、「ホッ」の合いの手も入っています。と、ねぶた囃子ファンとしてはどうしてもそういうところに耳が行ってしまうのですが、この曲の魅力はもちろんそんな瑣末ことではないです。

この曲は、聞くや否や一気に矢野顕子の世界の中に引きずり込まれてしまう圧倒的な存在感を持っています。祭り囃子をほぼそのまま使っているにも関わらず、ここまで独自の世界観を表現できるものなのかと衝撃を受けました。驚くべき完成度の高さです。

矢野顕子さんは青森の出身で、音楽の原点にねぶた囃子があると、以前テレビで語っていました。ちなみにふなまち唄PartIのねぶた囃子を演奏しているのは津軽三味線奏者の山上進さんで、矢野さんの弟の同級生という間柄だそうです。

もちろん、このアルバムは「ふなまち唄PartI」以外の曲も素晴らしいです。

1. 気球にのって
2. クマ
3. 電話線
4. 津軽ツアー
5. ふなまち唄 PartII
6. 大いなる椎の木
7. へりこぷたあ
8. 風太
9. 丘を越えて
10. ふなまち唄 PartI

1〜5曲目までが「アメリカン・サイド」、6〜10曲目までが「ジャパニーズ・サイド」と言われていて、和と洋の融合にチャレンジした作品だとのことです。民謡や能などの要素が取り入れられており、鬼気迫るものを感じさせられます。40年前の曲とは思えない圧倒的な迫力です。