【書評】『龍の夢』『龍の伝言』(澤田繁親)

この記事は「青森ねぶた祭り Advent Calendar 2015」の12月1日分として書きました。書けなくて抜けてしまった日付について、本の紹介をすることで後追いで埋めてしまおうという試みです。

今回紹介するのは、澤田繁親氏による『龍の夢』と『龍の伝言』の2冊。青森ねぶたの歴史とねぶた師に焦点を当てたものです。出版社はノースプラットフォームですが、サイトが無いのでリンク先がジュンク堂になってます。

www.junkudo.co.jp

2004年に発行された『龍の夢』は、平成に活躍するねぶた師に焦点を当てて、その生い立ちやねぶた師としての経歴、代表的な作品などが紹介されています。現役で大型ねぶたを担当しているねぶた師も多く、ねぶたを作る人たちのことをちょっとだけ身近に感じることができるようになります。

この本の大きな魅了のひとつが豊富な写真です。今は大ベテランとなった先生方の、まだ若い駆け出しの頃の作品なども掲載されており、ねぶた好きにとってはたまらない内容です。

後半は「ねぶた祭りのルネッサンスのために」という副題で、澤田氏とねぶた師の先生方との対談が掲載されています。

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『龍の伝言』は、龍の夢から2年後の2006年に発行されました。近代のねぶた師を取り上げた前作に対して、龍の伝言では幕末から昭和にかけて活躍したねぶた師について、ねぶたの歴史を振り返りながら紹介する内容になっています。

明治時代には人形ねぶたが一般的となっていたようですが、その素材や形、大きさなどは時代とともに変化してきました。この100年ほどの間に、青森ねぶたがどんな進化を遂げてきたのか。そしてその進化に対して、それぞれのねぶた師がどのような役割を演じてきたのががよくわかる一冊です。前作同様、昭和以前の貴重なねぶたの写真が満載です。

本筋とは少し違いますが、戦後や災害の後などに人々がどんな想いでねぶたを出してきたのかなども記されており、読んでいて思わず熱いものがこみ上げてきました。

すでに絶版のようで手に入りにくくなっていますが、青森市内の本屋ではまだ取り扱っているところがあるようです。