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"ねぶた"と"ねぷた"で何が違うか

ねぶた

この記事は「青森ねぶた祭り Advent Calendar 2015」の12月5日分として書きました。

ねぶたについての話題になると、「ねた(nebuta)とねた(neputa)って何が違うの?」という質問を受けることがよくあります。
ねぶたをよく知る人にとってはごく基本的なことなのですが、せっかくなのでここでちゃんと紹介しようと思います。

ネット上でよく見る回答が、「人形(武者)の形をしているのが"ねぶた"、扇型をしているのが"ねぷた"」というものです。が、これは大きな間違いです。

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上が"ねぶた"で下が"ねぷた"?いえいえ、違います。

まず前提として、津軽地方では、青森市青森ねぶた祭りの他にも、各地で大小様々なねぶた・ねぷた祭りが行われています。その数は優に40以上にのぼるそうです。

青森市のねぶたはよく知られているようにこういう形をしています。
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一方で、青森市のものと並んで規模が大きいのが、弘前市で行われる「弘前ねぷたまつり」です。こちらは"ねぷた"です。
弘前ねぷたまつり|公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

リンク先の写真をよく見てください。青森市のものとは違って、扇型の灯籠に細かい絵が描かれていますね。

青森ね"ぶ"たが人形型、弘前ね"ぷ"たが扇型をしているので、冒頭のような勘違いが生じているわけです。

青森ねぶた、弘前ねぷたに次いで最近有名になってきたのが五所川原市で行われている「五所川原立佞武多祭り」です。漢字ですが、これは「たちねぷた」と呼びます。つまり"ぷ"の方です。
立佞武多|祭り・イベント|五所川原観光情報局

五所川原立佞武多の特徴は、高さ22メートルにもなる巨大な人形型のねぶたが出陣することです。そう、"ねぷた"ですが、灯籠は人形型です。

黒石市では「黒石ねぷたまつり」が行われます。前述の3つに比べると若干知名度は下がりますが、80台以上のねぷたが出陣する盛大なおまつりです。完全に余談ですが、黒石ねぷたは明治初期にイザベラバードが著した「日本奥地紀行」にも登場します。
黒石ねぷたまつり | 一般社団法人 黒石観光協会

リンク先の写真ギャラリーをよく見てください。扇型が多いですが、人形型も混ざっています。黒石は"ねぷた"ですが、扇型と人形型の両方が出陣します。ちなみに、弘前ねぷたにも人形型のねぷたがあります。

知名度の高いいくつかを紹介しただけでも、ねぶたとねぷたの呼称が形によって別れているわけではないことが分かります。

結論を言うと、"ねぶた"と"ねぷた"で呼び方による違いはありません。

では呼び方を分けるのは何でしょうか。大雑把に言えば、地域です。ある地域では「ねぶた」と呼び、ある地域では「ねぷた」と呼ぶということです。これは、もともと同じ呼び方だったものが、訛りによって微妙に呼び方が変わってきたからだと言われています。

厳密に線引きがあるわけではないですが、弘前を中心とした南西方面では「ねぷた」、青森市下北半島などの北側では「ねぶた」と呼ぶ傾向が強いようです。

ちなみに「ねぶた」と「ねぷた」のどちらが発祥なのかというと、これは諸説あり、はっきりとした結論は出ていないようです。初期のねぶた祭りについて記録した古い文献もあるのですが、漢字表記なので読み方がはっきりしないのですね。

そもそも、例えば青森ねぶたにしても津軽弁でははっきりと「nebuta」とは発音せず、"Bu"と"Pu"が混ざったように聞こえるし、"ね"と"ぶ"の間に小さい"ん"が入っているようにも聞こえます。一般的な日本語文字では、ねぶたの読み方を正しく表記できないんですね。

今回はこの辺で。